日々雑感みぞぐち幸治のひとり言

流域住民の命と暮らしを守るために

2020年10月10日 (土) 06:02

おはようございます。

県議会の最終日の模様がTVに映ったらしく、様々な反応がありますので、賛成討論した内容を記しておきます。

自由民主党の溝口幸治です。

委員会提出議案第3号の「川辺川ダム建設を含む球磨川流域の抜本的治水対策に関する意見書」について賛成の立場から討論を行います。

今回、流域の市町村が一致結束して、提出された請願書の中に、このような記述があります。

「今、県及び国がなすべきことは、川辺川ダム建設を含めた洪水の検証を速やかに実施し、早急に結論を出すことである。その結果を踏まえ、これ以上、将来への不安や生活上の不便を来すことがないよう、目標時期を定め川辺川ダム建設を含め抜本的な治水対策を講ずるべきである。」

今回の洪水の検証結果については、昨日の全員協議会で報告がありました。

その中で、これまで、「球磨川治水対策協議会」で検討してきた10案を含め、ダムによらない治水対策を全て実施した場合でも、全ての被害を防ぐことはできなかったことが分かりました。

また、現行の川辺川ダムだけでは全ての被害を防ぐことはできないこともわかりました。

つまり、現時点では、これまで検討されてきた、また、計画された治水対策だけでは、今回の洪水被害を完全に防止できる有効な治水対策がないという状況にあります。

10月6日に開催された第2回検証委員会では、流域市町村長から、二度と再び同じような被害に会わないために、抜本的な治水対策を求める意見が多く出されました。

これは、現在、豪雨災害の復旧復興に明け暮れる流域市町村の最大の課題であります。抜本的な治水対策が決まらなければ今後のまちづくり、生活再建を描くことができません。

元の場所に住まいを確保していいのか、事業を再開できるのか、そのような悩みや相談を日々、受けてまいりました。

私はこの議場で何度も「政治の要諦は地域住民の生命・身体・財産を守ることである」と言い続けてきました。また川辺川ダム建設を白紙撤回する、あるいは中止を表明しても球磨川流域の安全度は上がっていない、危険な状態は続いている、いつ災害が来てもおかしくない、しっかりと対策を立てるべきだと言い続けてきました。

しかしながら、今回の豪雨災害では流域市町村全体で死者60人、行方不明者2人、私の住む人吉市では20人の方々が溺れて亡くなられました。

多くの方々から命の危険に晒された話をこの3か月、聞き続けてきました。政治は結果責任です。溺れて亡くなられた方々のこと、命の危険に晒された方々のこと、財産を失われた方々のことを思う時に、人吉市選出の県議会議員として大きな責任を感じています。

そのような立場からすれば、二度と再び、同じような被害を出さないために、ハード面もソフト面もできる対策は全てやってほしい、

川辺川ダム建設を含め、市房ダムの強化や遊水池の確保、嵩上げ、今回の豪雨で堆砂した土砂の撤去、球磨川本流も支流も目に見えるところ、不安な場所は直ぐにでも対応してほしい、最低でも人の命が失われる事態だけは絶対に避けたい。そんな心境です。

それを冷静に文章にするならば、意見書に書いてある通り、「国におかれては、流域住民が、安心して日々の生活が送れるよう、また、今後とも継続安定して経済活動が営まれるよう、川辺川ダム建設を含む球磨川流域の科学的、客観的で抜本的な治水対策をスピード感もって講じられるよう強く要望する。

あわせて、国及び県の方針に翻弄され続け、その下流域のために苦渋の決断をされた五木村などには、最大限の尊重を図るべきであり、引き続き強力な支援を要望する。」となるわけであります。

ダム問題に賛否あるのは十分解っています。今後も様々なご意見に耳を傾けることも忘れてはならないと思います。

しかし、一方で政治の責任、行政の責任をもっと自覚しなければならないと強く感じています。

民意は最大限、尊重しなければなりませんが、民意や世論に従って政策を決定しても、政治の要諦である「地域住民の生命・身体・財産を守り抜く」ことには繋がらないという事実を今回、目の当たりにしました。

今、我々、県議会に求められていることは、知事がどのような判断をするのか、ということ以前に、

我々、県議会が長年議論はしてきたが、抜本的な対策を導き出すことができなかった事実、流域住民の生命・身体・財産を失った事実を受け止めどのように行動に移していくのか、

また、熱しやすい世論、移ろいやすい民意から、距離を置き、過去と未来に責任を持ち、冷静な判断を下すことができるのか、

さらに、ダムか非ダムかといった地域の対立の歴史を再び繰り返すことなく議論を進めることができるのか、これらの視点が大事なのではないでしょうか。

これまでの経験を踏まえれば、球磨川流域の治水対策は、考えられる最も高い安全度を確保し、科学的、合理的な治水対策でなければなりません。

そのためには、今回の検証において大きな水位低減効果が認められた川辺川ダムの建設だけではなく、それを含めた総合的な対策、

つまり、清流球磨川を守る意識を持ちつつ、川辺川ダムの建設を含め、市房ダムの強化や遊水池の確保、堤防強化、嵩上げ、今回の豪雨で堆砂した球磨川本流そして支流の土砂撤去など、できることは全てやることであります。

議員各位におかれては、我々、県議会にとってもっとも大切な県民の命と平和な暮らしを守るという大義の下、何卒ご賛同賜りますようにお願い申し上げまして私の賛成討論を終わります。