日々雑感みぞぐち幸治のひとり言

知事の抜本的な治水対策の考え方

2020年9月30日 (水) 06:30

nおはようございます。

相変わらず、いつものように、予想通り、地元新聞が球磨川流域の治水対策を煽りに煽っています。

ここで、現在の熊本県知事が9月定例県議会で球磨川流域の治水対策についてどのような考え方を語ったのかのを記しておきます。

ダムありきでもダムなしでもありません。

流域住民のご意見を日々、お聴きする身としては当然のことだと思います。

以下参照。

私はこのような被害を二度と生じさせないためには、まず、今回の豪雨災害がどのようなのであったかを科学的に検証することが必要と考えました。

そこで、「令和2年7 月球磨川豪雨検証委員会」を立ち上げ、国及び流域市町村と連携して、検証に取りかかりました。

本委員会は、国、県及び流域市町村が保有するデータなどに基づき、今回の降雨量、河川の水位、被害状況、浸水範囲、氾濫形態及び洪水流量の検証を行うものです。

さらに、発生後の初動対応や、ダムによらない治水対策の評価、仮に川辺川ダムが存在した場合の効果などについても、網羅的に検証を行います。

8月25日に開催した第1回委員会では、昭和40年7月洪水を遥かに超える豪雨により、人吉地点の流量が、概ね毎秒8,000m³程度であったことをお示ししました。

また、 市房ダムの予備放流を含めた洪水調整により、多良木観測所で概ね90cm程度の水位低 減効果があったことをお示ししました。

さらに、市房ダムによる洪水調整後の人吉地点の ピーク流量は概ね7,500m³であり、仮に川辺川ダムが存在した場合、その流量は毎秒 4,700m³程度に低減されたのではないかと推定されました。

また、会議では、「ダムによらない治水を検討する場」で積み上げた堤防補強や河道掘 削などの、直ちに実施するべき対策を実施した地域では、今回、洪水被害を防ぐことがで きたと評価する御意見もいただきました。

一方、昨日は、流域市町村で構成する「川辺川ダム建設促進協議会」から、流域市町村 の総意として、今回の検証で、ダムの有効性が認められた際には、川辺川ダム建設事業を 含めたあらゆる対策に直ちに取り組むべきとの要望書をいただきました。

また、国土交通省は、本年7月に、今後の治水対策について、気候変動による災害リス クの増大に備えるため、流域全体で総合的かつ多層的に取り組む新たな治水対策である 「流域治水」へ転換する考えを示しています。「流域治水」については、専門家の方々か らも、検証委員会に提言が届けられています。

さらに、流域住民の方々からは、ダムを早急に整備すべきという御意見や、ダムに批判 的な御意見、五木村を再び翻弄すべきではないといった御意見など、様々な御意見が、私の元に届けられています。

私は今、これまでの川辺川ダム問題における地域の対立の歴史を繰り返すことなく、球 磨川の治水対策を導き出していくことが重要だと考えています。また、そのような思いのもと、流域住民の方々や、商工業・農林水産業などの様々な団体の方々の御意見・御提案を伺って参りたいと考えています。

今後の球磨川流域の治水の方向性については、検証結果を踏まえ、また、これらの御意見などを参考に、川辺川ダムなども含めて、あらゆる選択肢を排除せずに検討して参ります。

次に、今後の治水の方向性の決まり方とスケジュールについてですが、まずは、時間的 緊迫性を持って、科学的・客観的な検証に取り組んで参ります。

次回の委員会では、人吉市や球磨村渡(わたり)地区などの主要地点における流量に加 え、仮に川辺川ダムが存在した場合の水位や浸水面積、各種施設への影響などをお示しす る予定です。さらに、ダムによらない治水対策の評価、初動対応の実施状況などもお示し いたします。日程については、現在、10月上旬の開催を目途に調整を進めています。

今後の球磨川流域の復旧・復興を進める上では、治水の方向性を定めることが大前提となります。私としては、年内に、それもできるだけ早く、県としての治水についての考え 方を整理しお示しするとともに、国、県及び流域市町村が連携して、治水の方向性を定め て参りたいと考えています。

私は、今回の豪雨からの一日も早い復旧・復興を実現するとともに、将来に向かって、 球磨川流域の安全・安心を確保することが、私に与えられた天命であるとの覚悟を持って、全身全霊で取り組んで参ります。

以上が熊本県知事が9月定例県議会の代表質問、一般質問で発言した内容です。真実を冷静に整理し、事実と向き合う姿勢が今は大事です。マスコミに煽られ感情論に終始するのは建設的ではありません。

科学的根拠をもとに冷静に議論することが何より必要です。